小学生の足が速くなる5つのポイント 親ができる簡単サポートとは
「運動会で少しでも速く走りたい」
「リレー選手になりたい」
「走るのが苦手で自信がない」
小学生の走りに関する悩みは、特別な道具や厳しい練習をしなくても、毎日の少しの工夫で変わっていきます。
足の速さは、生まれつきだけで決まるものではありません。姿勢、腕の振り方、足の使い方、スタート、練習の続け方で、走りは見違えるようにスムーズになります。
大切なのは、子どもに「もっと頑張って」と言い続けることではなく、速く走りやすい体の使い方を楽しく身につけることです。ここでは、小学生の足が速くなるために親ができる5つのサポートを紹介します。

1. まっすぐな姿勢を作ると走りが安定する
速く走るための土台は、きれいな姿勢です。体が左右にぶれたり、上半身が後ろに反ったりすると、前に進む力が逃げてしまいます。
小学生の場合、「胸を張って」「背筋を伸ばして」と言っても、力みすぎてしまうことがあります。おすすめは、次のような声かけです。
頭のてっぺんを空に引っ張られている感じ
目線は少し先を見る
体はほんの少し前に倒す
肩の力は抜く
特に大切なのは、前に進みたい方向へ体を向けることです。走っている途中で顔が下を向くと、背中が丸まり、足も前に出にくくなります。
親ができる簡単な確認方法は、横からスマートフォンで短い動画を撮ることです。長く撮る必要はありません。5秒から10秒ほどで十分です。
見るポイントは3つです。
確認するところ | よい状態 |
目線 | 足元ではなく前を見ている |
上半身 | 反りすぎず、少し前に傾いている |
頭の位置 | 左右に大きく揺れていない |
動画を見せるときは、悪いところを指摘するよりも「ここ、前を向けていていいね」と良い部分から伝えましょう。子どもは安心すると、次のアドバイスを受け入れやすくなります。
2. 腕を後ろに引くと足も自然に動きやすくなる
走るとき、足ばかりに目が行きますが、腕の使い方もスピードに大きく関わります。腕が横に振れていると、体も左右に揺れやすくなります。反対に、腕を前後に振れると、足も前に出やすくなります。
小学生に伝えるなら、難しい言葉は必要ありません。
「ひじを後ろに引こう」
この一言で十分です。腕を前に強く振ろうとすると、肩に力が入りやすくなります。後ろに引く意識を持つと、自然に前後のリズムが生まれます。
家でもできる練習があります。
その場で立つ
ひじを軽く曲げる
肩の力を抜く
ひじを後ろに引くように腕を振る
10秒だけ速く動かす
ポイントは、長くやりすぎないことです。疲れてフォームが崩れる前に終わるほうが、良い動きが残ります。
親は正面から見て、腕が体の前でクロスしていないか確認しましょう。手が胸の前を大きく横切る場合は、「線路の上を腕が走るイメージで振ってみよう」と伝えるとわかりやすくなります。

3. スタートの一歩目で前に進む力を作る
短距離走では、スタートの数歩で差がつきやすくなります。とはいえ、小学生に本格的なクラウチングスタートを教える必要はありません。まずは、最初の一歩で前に進む感覚を覚えることが大切です。
よくあるのが、合図と同時に上に跳ねてしまう走り方です。体が上に浮くと、前に進むまでに時間がかかります。
練習では、次のように声をかけてみてください。
合図で前に倒れるように出る
最初の3歩は小さく速く
顔をすぐに上げすぎない
地面を後ろに押す
おすすめの遊びは「だるまさんダッシュ」です。
親が少し離れた場所に立ち、「よーい、ドン」の代わりに「赤」「青」「バナナ」など合図の言葉を決めます。合図を聞いたら、子どもは3歩だけ全力で走ります。
3歩で止めるのがポイントです。長く走るより、スタートの集中力が高まります。何度か行ううちに、体を前に運ぶ感覚がつかめます。
スタート練習をするときは、滑りにくい場所を選びましょう。アスファルトよりも、公園の土や芝生、学校の校庭のような場所が向いています。
4. 大股ではなく足をすばやく入れ替える
「速く走るには大きく走りなさい」と言われることがあります。たしかに歩幅は大切ですが、小学生が無理に大股で走ると、足が体より前に出すぎてブレーキになります。
速く走るためには、歩幅だけでなく、足をすばやく入れ替えるリズムも必要です。
意識したいのは、次の2つです。
足を前に投げ出さない
体の真下あたりで地面を押す
難しく聞こえるかもしれませんが、遊びにすると簡単です。
おすすめは「ミニハードル風ステップ」です。家にあるタオルを細く丸めて、床や芝生に間隔を空けて置きます。その上をまたぐように、軽く走り抜けます。
本物のハードルを使う必要はありません。タオルなら踏んでも危なくなく、準備もすぐにできます。
最初はゆっくりで構いません。慣れてきたら、テンポよく進みます。ここでの目的は、足を大きく開くことではなく、リズムよく足を運ぶことです。
注意したいのは、つま先だけでピョンピョン跳ね続けることです。ふくらはぎに負担がかかりやすくなります。短い時間で区切り、疲れたら休ませましょう。

5. 楽しく続ける環境を親が作る
走りが上達する子は、特別な練習を一度だけした子ではなく、短い練習を楽しく続けられる子です。小学生は、気分や体調によって集中力が変わります。毎回きっちり練習させようとすると、走ることが嫌いになる場合もあります。
親ができる一番のサポートは、練習を「怒られる時間」にしないことです。
おすすめは、1回10分程度の短いメニューです。
姿勢を意識して20メートル走る
腕振りを10秒行う
スタート3歩ダッシュを3回行う
タオルステップを2往復する
最後に好きな走り遊びをする
これだけでも、十分な練習になります。毎日でなくても構いません。週に数回、気持ちよく体を動かす習慣ができれば、走り方は少しずつ変わります。
声かけも大切です。タイムだけを見ていると、子どもは結果ばかりを気にするようになります。次のように、動きの変化をほめましょう。
結果だけを見る声かけ | 動きを見る声かけ |
もっと速く走って | 腕が前後に振れていたね |
なんで遅いの | スタートの一歩目がよくなったね |
〇〇ちゃんに負けたね | 前より最後まで姿勢が崩れなかったね |
比べる相手は、他の子ではなく昨日の自分です。小さな変化に気づいてもらえると、子どもは「また走ってみよう」と思えます。
靴選びも見直しておきたいポイントです。サイズが合わない靴、かかとがすり減った靴、重すぎる靴は走りにくさにつながります。つま先に少し余裕があり、かかとが浮きにくい靴を選びましょう。
また、成長期の子どもは疲れがたまりやすいこともあります。痛みがあるときに無理をさせる必要はありません。足首、膝、かかとなどに違和感が続く場合は、運動を休み、必要に応じて専門家に相談してください。
速く走る近道は、厳しい練習を増やすことではありません。良い動きを、楽しく、短く、くり返すことです。

走る力は親の小さなサポートで伸ばせる
小学生の走りをよくするために、難しいトレーニングは必要ありません。まずは、次の5つを意識してみてください。
まっすぐな姿勢で走る
腕を前後に振る
スタートの一歩目で前に進む
大股ではなく足をすばやく入れ替える
楽しく続けられる環境を作る
どれも、親子で今日から試せるものばかりです。
走るのが得意な子も、苦手な子も、上達のペースはそれぞれ違います。大切なのは、できないところを責めることではなく、できるようになった小さな変化を一緒に見つけることです。
「前より腕が振れているね」「スタートが速くなったね」「最後まで顔が上がっていたね」。そんな一言が、子どもの自信になります。
運動会や体育の時間だけでなく、外で体を動かすことそのものが楽しくなるように、まずは10分の親子練習から始めてみましょう。



