これからの日本は『雨を逃がす』だけでは足りない?極端な雨と付き合う時代へ
- Oka Medical Osteopathic Clinic
- 11 分前
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「最近、雨の降り方が極端になった気がする」
そんなふうに感じることはありませんか?
晴れていたと思ったら、突然空が暗くなり、短時間に猛烈な雨が降る――いわゆる「ゲリラ豪雨」です。
一方で、雨がなかなか降らず、水不足が心配されることもあります。
実は、これからの日本では「雨が増える」というより、「降るときは極端に降り、降らないときは長く降らない」という、メリハリの強い雨の降り方が増えていく可能性があります。
では、そんな時代に私たちは、雨とどのように付き合っていけばよいのでしょうか?
今回は、ゲリラ豪雨が発生する仕組みではなく、「これからの日本の雨との付き合い方」について考えてみます。

日本の雨は「増える」のではなく「極端になる」
まず知っておきたいのは、単純に「日本全体の年間降水量が増える」というわけではないことです。
気象庁によると、日本の年間降水量には長期的に明確な増加傾向は確認されていません。
一方で、極端な大雨の発生頻度は増加しています。
例えば、1時間に80mm以上といった非常に強い雨は、1980年頃と比較して、最近10年間ではおおむね2倍程度に増えています。

その一方で、雨の降らない日も増えています。
意外にも雨そのものが単純に増えているわけではないのです。
むしろ、
「降らない時間が長くなった一方で、降るときには一気に降る」
という変化が起きているのです。
これからは、さらに短時間の大雨が増える可能性
気象庁が発表している『日本の気候変動2025』によると気象庁の将来予測では、1時間50mm以上の強い雨の年間発生回数は、21世紀末には20世紀末と比較して、全国平均で約1.8倍~3.0倍になると予測されています。
もちろん、これは将来の気温上昇の程度によって変わります。
温暖化が進めば進むほど、大気中に含まれる水蒸気量が増え、短時間強雨が起こりやすくなると考えられています。
東海地方でも、1時間50mm以上の短時間強雨は、21世紀末に20世紀末と比べて、2℃上昇シナリオでは約1.4倍、4℃上昇シナリオでは約2.3倍になると予測されています。
これは静岡県を含む東海地方で暮らす私たちにとっても、決して遠い話ではありません。
では、大量の雨をどうすればいいのでしょう?
これまでは、大雨が降ったとき、
「できるだけ早く川へ流して、街から水を排除する」
という考え方が重要でした。
もちろん、河川や下水道の整備はこれからも必要です。
しかし、雨の降り方が極端になれば、それだけでは対応しきれない場面も出てきます。
そこで重要になっているのが、「雨を逃がす」だけではなく「雨を一度受け止める」という発想です。
例えば、
雨水を一時的に貯める
地面に浸透させる
田んぼに水を貯める
ため池を活用する
遊水地を整備する
公園や公共施設などを貯留場所として活用する
といった方法があります。
国土交通省が進めている「流域治水」も、河川だけでなく、流域全体で雨水を貯留・浸透させ、水害を減らしていく考え方です。

国土交通省HP:「流域治水の推進」より
実は、日本には昔から「雨を受け止める場所」があった
ここで、意外な存在が出てきます。
それが田んぼです。
田んぼは米を作る場所ですが、大雨が降ったときには、雨水を一時的に受け止める役割も果たします。

この機能を積極的に利用するのが「田んぼダム」です。
田んぼに降った雨を一時的に貯留し、排水をゆっくりにすることで、下流の河川や排水路へ一気に流れ込む水の量を抑えることができます。
国土交通省も、雨水貯留浸透施設や「田んぼダム」、ため池などを組み合わせ、流域全体で雨水を貯留する取り組みを進めています。
つまり、日本の農地は、食料を生産する場所であると同時に、地域の水を受け止める場所でもあったということです。
農業の問題が「水害」の問題にもなる?
米不足や米の価格高騰のニュースの中で、日本の農業の深刻な現状にも注目が集まったことは記憶に新しいと思います。
日本のあちこちで、農業の担い手不足や高齢化などによって耕作されない農地が増えています。
ただし、
「田んぼが使われなくなった=必ず水害が増える」
という単純な話ではありません。
重要なのは、田んぼとしての水管理機能が維持されているかどうかです。
畦や水路、排水設備などが適切に管理されていれば、水を一時的に受け止める機能を維持できる場合があります。
逆に、長期間管理されず、畦や水路などが傷んでしまえば、本来持っていた貯留・排水機能が低下する可能性があります。
これからの日本では、「農業をどう維持するか」という問題を、
「食料をどう確保するか」だけでなく、「地域の水をどう管理するか」
という視点から考える必要もあるのかもしれません。

「大きなダム」だけではなく「小さな貯水」をたくさん
これからの水害対策では、巨大な施設を作ることだけが答えではありません。
例えば、
住宅→ 雨水タンク
学校・公共施設→ 雨水貯留施設
公園→ 一時的な貯留空間
農地→ 田んぼダム
森林・緑地→ 雨水を地中へ浸透
というように、地域のあちこちで少しずつ水を受け止める。
国土交通省が進める「流域治水」も、河川だけでなく、自治体、企業、住民など流域全体の関係者が協力し、貯留・浸透機能を高めていく考え方です。
イメージするなら、「街全体を大きなスポンジにする」ようなものです。
雨をすべて一気に川へ流すのではなく、あちらこちらで少しずつ受け止める。
こうした考え方が、今後ますます重要になっていくでしょう。

そして「貯めた雨」は、水不足のときに役立つかもしれない
ここからが、これからの日本の水との付き合い方を考えるうえで重要なポイントです。
大雨が降ったときに、
「どうやって洪水を防ぐか?」
だけを考えるのではなく、
「この大量の水を、どうすれば後で利用できるのか?」
という視点です。
もちろん、豪雨で発生する水をすべて貯めておくことはできません。
しかし、雨水を一時的に貯留したり、地下へ浸透させたりすることで、
洪水を防ぐと水資源を守るという2つの目的を同時に考えることができます。
これからは、「水害対策」と「渇水対策」を別々に考えるのではなく、水が多すぎるときと少なすぎるときを一つの問題として考えることが重要になってくるのではないでしょうか。
「雨を避ける」から「雨と付き合う」へ
日本ではこれまで、雨から暮らしを守るために、堤防やダム、下水道など、さまざまなインフラが整備されてきました。
これらは今後も必要です。
しかし、気候が変化し、短時間に降る雨がさらに強くなるのであれば、
「降った水をできるだけ早く外へ出す」
という方法だけでは限界があります。
これからは、
逃がすだけではなく、
貯める、浸透させる、分散させる、利用する
という発想が必要になっていくでしょう。
そして、その役割を担うのは、ダムや河川だけではありません。
田んぼ、ため池、森林、公園、学校、住宅など、地域にあるさまざまな場所が「水を受け止める場所」になる可能性があります。
まとめ
これからの日本では、
「雨が増える」というより、
「雨の降り方が極端になる」
ことへの備えが重要になりそうです。

降るときには猛烈な雨。
降らないときには長期間の少雨。
そんな環境では、
「雨を災害として処理する」だけでなく、「貴重な水としてどう管理するか」
という考え方が重要になります。
私たちはこれまで、雨が降れば「早く排水する」ことを考えてきました。
これからは、それに加えて、「どこで受け止め、どこに貯め、どうやって後で利用するのか」を考える時代になっていくのかもしれません。
ゲリラ豪雨は、単なる「突然の大雨」ではありません。
それはもしかすると、日本がこれまで当たり前だと思ってきた「水との付き合い方」を見直すきっかけなのではないでしょうか。
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